改正貸金業法の見直しを

  

 貸金業法金利規制については、http://d.hatena.ne.jp/ko_chan/20080408/1207659735でも書いたけど、サラ金で借りられなくなった多重債務者がヤミ金に流れて、さらにひどい目にあっていることが明らかだ。
 今月の「FACTA(いつも引用させてもらってばっかだが、直売誌だし、記事一本の分量も多いから、むしろ応援になるかなと思ってる)」を読むと、「多重債務者は40万人も減った(金融庁)」、「法改正の勝利(渡辺金融相)」という「大本営発表」の数字のからくりが暴かれている。


この世も末の「ヤミ金融」増殖(FACTA2008年6月号)

 当局の発表は、全国信用情報センター連合会(全情連)のデータに基づいている。ところが全情連の加盟業者は、07年3月末の1934社から現在1570社に激減。同じく激減している貸金業登録業者約9100社の2割にも満たない状況だ。つまり多重債務者が減ったのではなく、貸金業者に対する全情連のカバー率が減ったのだ。

 もし、金融庁の言うとおり多重債務者が40万人も減ったのなら、延滞者も減るはずだが、実際は逆だ。全情連によると3カ月以上入金のない延滞者が07年2月の175万人から08年3月の199万人に増えており、状況は改善どころか悪化しているのだ。

 金融庁が依拠するデータは、片手落ちも甚だしい。知ってて言ってるのか? http://d.hatena.ne.jp/ko_chan/20080406/1207464830で書いた通り、貸金業規制法および出資法違反での検挙件数は激増している。

 警察庁によれば昨年、全国のヤミ金検挙数は対前年5割増の484件。その約3割が暴力団のかかわった事件で、被害者は15万人にのぼるが、実際は被害届の出ないケースがほとんど。そもそも現在の警察力では「ヤミ金掃討」は不可能だ。

 同記事の試算によれば、少なくとも10万人前後がヤミに呑み込まれたというが、とんでもない数字だ。今年は自殺者も急増するかもしれない。

 月10%の利息は、年率120%(出資法上限金利29.22%)。「先振り」というのは、保証料等の名目で事前に業者に金銭を支払うことで、ほとんどが詐欺だ。短期業者というのは1週間〜10日の期間で貸付を行う業者で、トイチ(10日で1割)、トサン(10日で3割)が有名だが、最近はヒサン(1日に3 割)なる超暴利業者も現れた。

 1日3割って……ひと月で何千倍だよ。((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 一度落ち込んだら骨までしゃぶられるのは確実だ。2ちゃんでは、金利規制の緩い個人間での貸し借りも行われているらしい。

 前金融相の山本有二・前金融担当相は最近、「金利を下げれば貸し倒れを防ぐため審査が厳格化し、借りられなくなる人が出るのは当然だ。ところが、当時は当たり前の経済理論が通らなかった。日本という国は、かつて『鬼畜米英』『お国のために』といって戦争へ走り出したように、いったん大きな流れができると、誰も抗うことができない国家意思が働いてしまう。国民に冷静な判断ができない限り、今回のような暴走を止めることは難しい」と語っている。

 そういうことだね。この国の論理的に考えることができない大衆と、その大衆の情動におもねるだけのマスコミと、そのマスコミにおもねる政治家がこの基地外じみた悪法を生み出したんだな。
 とにかく改正法の総量規制が本格化する2年後までにとっとと見直さないと、地獄に堕ちる人がさらに増えるだけだろう。この改正の旗を降った連中(某弁護士に某政治家、そしていまさら多重債務者を取材してるマッチポンプマスゴミ)を吊るし上げるのはその後だ。