唯一まともなコメンテーター

 某苺ch界隈では、「素人向け」とバカにされることも多いテレ東の『ワールド・ビジネス・サテライト(WBS)』だが、ゲストコメンテーターが五十嵐敬喜氏のときだけは観るようにしている。*1
 前にも書いたような気がするが、この五十嵐という人は、テレビ的な空気の読み方も一応心得た上で、専門家としての知見を真っ当に語る*2からか、小谷真生子はじめキャスター陣も一目置いてる感じが伺える。コメントを求められる回数が他のコメンテーターと比べ少ないように思えるのも、制作サイドの自主規制的なコントロールが働いているんだろうか。


 今日のコメントも計3回だった。アメリカの自動車ビッグ3救済に関するニュースで、小谷キャスターの「ビッグ3は救済すべきですか? しないべきですか?」というストレートな問いかけにたいして、「救済すべき。雇用の問題はもちろんだが、3社に金を貸しているところも多いし、大量の社債も発行している。そうした債権の多くにCDSがかけられていて、潰してしまった場合、保険金の支払いも莫大になり、引受け手のなかには払えない金融機関も出るだろうから、リーマン破綻の時以上のショックが来かねない」との答え。ビッグ3破綻で日本の輸出がさらに落ち込むとか(まあそれはその通りなんだが)、CDSを持ってるところが潰れて大変(本当に大変なのはCDSを売った方=金融機関)とか言っているメディアがざらな中で、至極真っ当な分析だと思う。


 次は、何やら就職前の学生に「社会人基礎力」を身につけさせるとかいう話題で、ここの五十嵐氏のコメントはよく聞いてなかった。というかこのトピック自体どうでもよさげ。


 3つ目は、番組最後のニュースの耕作放棄地解消を目指す農地制度改革について(▷▷▶時事ドットコム | 所有から利用重視に転換=農地法改正案を正式提示−石破農水相)。農業への株式会社の参入などで自給率向上という、バカバカしいんだけど反対しにくい話にたいして「ムリでしょう(即答w)。耕作放棄された農地というのは、採算があわないが故に放棄されたわけですから(株式会社がやっても同じ事)」と、穏やかな口調でしかしバッサリ切り捨てちゃった。話題を振った小谷キャスターは一瞬、ぐっ…(という声がホントに聞こえた気がした)と詰まって「……そうですか」だってww。だが決して異論があるという感じではなかったね。


 近頃、官民こぞっての食糧自給率向上キャンペーンが進行中な情勢だが、「海外から輸入したほうがはるかに安上がりだから、自給率を上げようとしても上がるわけがない」という五十嵐氏のような意見がもっと流通したら良いのに、と思う。



▷▷▶関連:サービス産業従事者の賃金を上げるしかない

*1:伊藤元重氏のときも以前は観ていたが、最近は奥歯にモノが挟まり過ぎな感じでつまらなくなった。その他のお歴々についてはもういうまでもなくゲフンゲフン

*2:森永卓郎氏もそんな感じ