「たらい回し」を無くしたいなら、分権なんかやめて一極集中するしか無いのでわ

 最初にいっとくが「たらい回し」というコトバを素で使う人間を信用してはいけません。何十年もの間、「(儲け主義)医師の怠慢」を意味する言葉として定着しちゃってるから使うが、書く時は括弧つきで、しゃべる時は最低でも「いわゆる」をアタマにつけるべし。

 東京都立墨東病院など複数の病院で受け入れを断られた妊婦(36)が亡くなった問題で、厚生労働省は23日、舛添要一厚労相が24日に同病院に行き、病院側から直接事情を聴くと発表した。
 同省幹部は「これまで同様のケースで大臣が、現場となった医療機関に自ら足を運んだ例はない。極めて異例の対応」としている。
 都内で大病院が次々と診療を断った事態を重く受け止め、厚労相自ら判断したという。


47NEWS | 共同ニュース:妊婦死亡、厚労相自ら実態調査へ 24日に病院訪問


 「異例の対応」を「厚労相自ら判断」ね。こんなパフォーマンスで病院を断罪してどうする気かね。逆効果だよ。問題の在処はわかりきってる。「医師という人材を含めた医療資源の偏在によって起こる、局地的な需給の逼迫」ですよ。こんどの妊婦死亡の案件は、東京も「局地」でありうる事を証明しただけでしょ。
 日本全体でみれば人口あたりの医師の数が足りているとすれば、問題は「偏在」。「偏在」とはどういう状態か。医師の分散の仕方と人口の分散の仕方にギャップがあるってこと。じゃあそれをそろえればいいわけだけど、盤上の駒みたく、医師が比較的多いところから少ないところへホイホイと動かすわけにはいかない。「おいお前、来月から離島勤務な」なんてことができれば世話は無い(ま、今はなくなった大学の医局ってやつはそういうご無体を通せてしまうシステムだったわけだけど)。
 

 みの(もんた)は、「厳しい勤務なのに、給料はエッというほど安い。だったら、10倍の待遇にすれば、人も増えるんじゃないか


 (川渕)教授は、「ブレア首相はそれで10兆円つけた。その代わりたらい回しをするなと。政治の問題ですよ


J-CASTテレビウォッチ | 朝ズバッ!:また妊婦死亡 「ERって何のためにあるの?」


 もっとお金をかけるべき、と来た。じゃあそのカネは誰が負担するのかな。医師が足りない地域の自治体にそんなカネはない。社会保険料の値上げだって、そういう地域ほどできない。
 イギリスみたいに国がもっと出せばいい? 当然それに伴う増税はイヤがるくせに(後期高齢者医療制度のときのあの感情的な反発の仕方を見ればそれは明らか)。消費税何%まで上げればいいかなんて予測不可能じゃないの。だってこれまでだって予想外のことばっかだったんだから。


 さっきもいったように、医師の数そのものは足りてる。でも「偏在」がある。「偏在」を解消すればいいが、そのために医師を動かすのはムリで、ムリやり動かそうとすれば、動かすだけでエラい費用がかかる。そしてそのあとどれだけ維持費が増えてくか想像もできない、と。
 じゃあどうすればいいかというと、もう人口のほうを動かすしかないんじゃないの? ほっとけば人口は都市部に集中するんだし。で、病院や医師などの医療資源を都市部に集中させる。もし「偏在」が起こりかけたとしても「おいお前、来月から◯◯市勤務な」なら言われた医者も納得するんじゃないの。当然行く先も大都市なわけだから「そのかわり昇進&昇給な」という条件も付けられるだろう。
 医療だけじゃなく、介護施設も、リハビリセンターも、葬儀場も火葬場も墓地も、全部、都市部とその近郊に集中させれば効率がいいと思うんだけどね。

 
 地方分権なんていう寝言をいうのをやめれば、いろいろ方法はあると思う。マスコミも学者も政治家も「医者が悪い」「官僚が悪い」「(他党派の)政治家が悪い」などと吠えるのではなく、つきつめて解決策を考えたら、「分権なんかやめて、都市部に集中させましょう」と言うしかなくなる。本当はわかってる人間も少しはいるだろうが、たんに突詰めて考えてない奴が大半だからね。
 ま、それ以前に、名目成長率を安定的にせめて4%くらいにしないと、どんな解決策も意味はありません。今のデフレ&低成長がつづけば、医療も介護も年金も、たとえ大増税に保険料超値上げしたって(第一、収入の増加以上に増税できるわけないでしょ)破綻するからね。