小泉元総理引退報道から、つらつら考えたこと

歳出削減を進め、競争を促す政策は所得や地域間の格差拡大なども生んだ。非正規雇用が増え、地方の商店街では相次ぐ閉店で「シャッター通り」が出現。医師不足など社会保障のひずみも問題になっている。
経済評論家の内橋克人氏は「働く貧困層」を生んだ労働の規制緩和などを挙げ、「小泉構造改革は新たな構造問題を生み出した。格差拡大で『社会統合』も崩壊した。改めて総括しなければいけない」と指摘する。


quote a sentence from: asahi.com | 小泉氏、「改革」の光と影残し引退 経済再生と格差拡大"

派遣労働者の労働条件改善などに取り組む派遣ユニオンの関根秀一郎書記長(44)は「小泉改革規制緩和が雇用に残したつめ跡は非常に大きい。日雇い派遣労働者など使い捨てとも言える雇用を許し、ワーキングプアを増大させた。前回衆院選の時、閉塞感に包まれた若年労働者は小泉元首相のワンフレーズに期待した。しかし、今彼らは最大の被害者だ」と批判した。


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小泉引退の各紙の報道は、拉致問題や対米関係で一定の評価をするパターンや、"そっけなくファクトのみ"というパターンもあったものの、概ね毎日、朝日のように「構造改革で格差を拡大させた」と相対的に"罪"の面を強調するパターンが多かったようだ。どうでもいいが、貧困というと、いつも内橋克人氏がでてくるのはなぜか。
これについては、昨日書いたことにつきているんだけど、労働市場の流動化や格差それ自体は悪いことではないし、許容できない格差があったとしても、それは「小泉改革」とやらのせいではなく、デフレによる経済の停滞こそが「真の悪」だろう。


こういうのを見ると、もうオマエらいいかげんにしろや、と思わないでもない。でもニート論壇wに代表されるような、ワープアとか格差とか声高に言い立てる方々って、「小泉改革のせいで格差と貧困が〜」というストーリー(=虚構)が政治的な動員に役立つからそう言ってるだけ、とも考えられるよね。このストーリーに対し「ガチ(本気でストーリーを信じている)か、タメ(虚構であることを承知でやってるか)か」の違いはあるにせよ。
だから、彼らの現在の十八番「小泉改革→格差」ストーリーを仮に論破できたところで、また別の護教神話をどっかから持ってくるだけだろう。それをいうなら小泉側にしたって、例えば「抵抗勢力」云々てのは「どこかにいる(自分ではない)悪い奴らから既得権をとりあげろ!」という、まさにストーリー(=虚構)。それが若者(ではないという説もあるが)を動員するのに恰好だから使っただけだ。ただし小泉元総理は完全に「タメ」だけどw 


そもそもなんでアッチ方面の人たちが小泉元総理をああまで嫌い、引退宣言に際して「小泉人気も堕ちたなw」みたいなことを言いたがるかといえば、郵政選挙のときに、自分たちのものだと思いこんでた浮動票(下流だのB層だの当時はいろいろ言われたね)をごっそり小泉に持っていかれたって逆恨みしたからじゃないのか。まあ、ぼくもあの時は自民党に投票した。別に「小泉に踊らされたなw」とか言われてもかまわないが、民主党をはじめとする野党勢力の「この選挙は勝てる」という勘違いぶり(経済オンチもヒドかった)は見えていたと思うし、彼らがもちっとマシなカウンターパートになるには、いっぺんボロ負けしたほうがいいと考えてのことだったのも事実だ。


つまり、何が言いたいのかというと、二大政党があるとして、どちらの政策も支持できないとき、「入れたい政党(候補者)がない」とゲームから降りる(棄権)のではなく、より政策がダメなほうを大負けさせて、自覚を促すという参加のしかたもあるんじゃないかってこと。
そういう視点でもって来る総選挙をどう見るか。すごく難しいけど、自分なりの解答としては、「自民・民主拮抗。公明、社民壊滅」となるだろうか。