うーん、これはガチでわかってないのか……


社説:「徳政令」判決 ヤミ金撲滅の武器ができた(毎日.jp)

消費者金融の貸出金利引き下げや過剰な取り立てへの罰則強化などを内容とする出資法貸金業法の改正を受け、07年4月策定された多重債務問題改善プログラムでも、ヤミ金対策は大きな柱だ。しかし、その内容は警察による取り締まりが中心で、目新しさはなかった。ヤミ金の恐ろしいところは、貸金業の登録をしている消費者金融会社で借りられなくなった人や、多重債務に陥った人を甘い言葉で勧誘し、さらに深刻な借金漬けにしてしまうことだ。ヤミ金業者は法外な利息収入だけでもぼろもうけできる。借り手は過重な元利支払いで生活が(破綻はたん)したり、自殺に追い込まれるケースも発生していた。

消費者金融の貸し出し金利の上限を引き下げた貸金業法の改正では、一面トップで取り上げるなど大々的にキャンペーンをはっていた毎日新聞だが、こんな社説が出てるのに気がついた。あまり話題になってないっぽいけど(ぶくまもゼロ)、ひどすぐる。

貸金業法などの改正に関連して、貸出金利が引き下げられれば、消費者金融会社の融資審査が厳しくなり、借りられない人が出るため、ヤミ金の営業の活発化を(危惧きぐ)する声もあった。

心配された通り、法改正を受けて(まだ上限金利は施行されていないが業者はそれを織り込んで行動してる)消費者金融業者から借りられなくなった債務者がヤミ金融に流れている(http://d.hatena.ne.jp/ko_chan/20080408/1207659735)。

事実、07年のヤミ金被害は件数で、前年より約5割増となった。効果的な対策が取られていないことの反映でもある。今後も、ヤミ金被害が広がることになれば、せっかくの上限金利引き下げや罰則強化の効果も減殺されてしまう。

社説子も被害が激増しているとわかっていて、この言い草は無いだろう。お金につく値段である金利は、借りる人の貸倒れリスクに応じて決まる。金利規制(価格統制とこれは同義だ)によって、上限を15%までなんて決めたら、それ以上に貸倒れリスクのある人は借りられなくなる。15%といったら、クレジットカードの金利と変わらない。当然、これまでサラ金で借りてきた人の大半が審査ではねられたわけだ。
言ってみれば、かれらがヤミ金に借りざるを得なくなった原因の一端を、毎日新聞はじめ、サラ金タタキに邁進したマスコミが担っているのだ。で、この社説子の言いたいことは、規制を強化しろってことらしいが、サラ金を排除して、ヤミ金を排除して、借りたい(借りなきゃどうにもならない)人はどこへ行けというのだろう。ヤミ金を壊滅させれば、みんなハッピーになれるとでも思ってらっしゃるのだろうか。
借りる人たちは、生活費もそうだし、病気とか急な出費とかがあるときに現金が手許になくてサラ金に行くのだ。サラ金が貸してくれなくなり、知人とか親戚だって余裕はない、となればヤミ金にでも借りるしかないではないか。毎日社説のごとく、とにかくカネを借りるのがダメ(だってそういうことだろ?)というなら、現金の無い人には、社会政策的に生活扶助を与えろと主張するべきだ。何兆円かかるかわからんがね。


医者タタキといい。先日のインフレ社説といい、ここんところの毎日社説のトンデモぶりは突出している。ぼくの場合、このトンデモっぷりをfinalvent師(そういえば弁当師匠、この社説にたいしては言及が無いな)のように「楽しむ」ことはできそうにない。