時給1300円

正社員と同じ働き方をしているパートの労働者を賃金などで差別することを禁止する法律が、ことし4月から施行されるのに向けて、国際電話の取り次ぎにあたっているパートと契約社員の組合が、会社側に春闘の要求書を提出して正社員との格差をなくすよう求めました。

パート労組 格差是正へ要求書(NHK)

ネット上にこれしかソースがないのな(追記:朝日が今日記事にしてた)。だから、7時のニュースを見た記憶をたよりにするしかないけど、なんか疑問に思ったので、半ば放言かもしれないが書いてしまおう。
彼ら(映ってたのは女性だけだったが)の要求は、正社員との格差是正だから、それ自体はいちおう正当なものだとは思う。「交通費がカットされた」「時間外労働しないと生活できない」「一年更新で不安定」といった訴えがなされて、それは問題と言えば問題なんだが、逆にいうとパート労働には時間の融通が利くとか、転職が自由とかのメリットがあり、彼らはそれを享受してきたはずだ。
そもそも国際電話の取り次ぎって要するに通訳・翻訳系の仕事だから、パート労働のほうが一般的なんでは? この会社には「パートと同じ働き方をしている」正社員のオペレーターが存在するのか? だとして、正社員よりパートの方が時給が安過ぎるとすれば、抗議するのは分からないでもない。でもニュースを聞いた限りでは、「専門職なのに、時給1300円は低過ぎる」と言うだけで、対比すべき正社員オペレーターの賃金水準は提示されなかった。
専門職なら、優秀な人を不当に低賃金で働かせればとっとと他社に逃げてしまうだろう。会社は逃げられたくない人は、正社員採用するか、時給アップするだろうし、そうでない人はそのままだろう。一般職と同列には論じられないと思う。
そこでだが、国際電話の取り次ぎって、そこまで難しい仕事なのかな? 通訳・翻訳業界にいる知人によれば、1300円がそんなに安いとは思えないとのことだった。パート労働者たちが、使用側と条件闘争するのは自由だが、こういうふうにマスコミを利用するのはどうかと思う。意図しているのかいないのかよくわからないが、マスメディアが取り上げたことで、結果的に「悪徳企業が労働者を搾取している」みたいなミスリードになってしまっているんじゃないかな。続報があれば注目したい。
 

追記

2月18日付けの朝日記事によると、このパート労組のひとたちは、旧KDD時代の90年代末に、短期正社員として時給2000円以上もらっていたという。どっちにしてもパイの大きさが同じなら、誰かがよけいに賃金を得るために他の誰かの取り分が削られるだけ。こんなことを繰り返してもなんの解決にもならないんだが。
そういえば朝日新聞社ヘラルド朝日の訴訟の件とかは? スルーですかそうですか。