遺伝子組み換え作物を「受け入れよう」との提言は一応評価できるんだが…

NHK | クローズアップ現代
11月27日(木)放送 食卓に迫る遺伝子組み換え作物


食糧危機を背景に、世界に急速な勢いで広がる遺伝子組み換え作物(GMO)。日本では、消費者の健康や環境への不安が強く、GMOの商業栽培はまだされておらず、食品メーカーもGMOを原材料とする食品の販売に慎重だ。しかし、アメリカやカナダなどで大豆やとうもろこしのGMO化が進む中、食品メーカーが「非GMO」だけを選んで、原料を入手することが年々困難になっているのが実情だ。さらに今年に入って、これまで非GMOの有力な供給国だったオーストラリアで、干ばつをきっかけに食用油に使うナタネのGM化が解禁、衝撃が走っている。さらに、日本でも自給率向上を実現するためには、GMOの栽培が必要だと声をあげる農家も現れた。食料の6割を輸入に頼る日本。GMOを巡る日本の現状を描きながら、今後、GMOとどう向き合っていくべきか、考える。


スタジオゲスト: 岩永 勝さん(作物研究所所長)


 遺伝子組み換え作物GMO)というと、これまで日本では「食の安全」を病的に気にするムードのせいもあって、「絶対反対」のスタンスしか有り得なかったのだけれど、ようやくというか、渋々というか「どう受け入れていくか」という切り口での報道がでてきたらしい。どう受け入れる、といっても、もともと遺伝子組み換え作物がいけない根拠なんて、「消費者の不安」という実にいいかげんなものしかなかったんだけど。


 だがNHKも、アメリカ、カナダに続いて、GMOに慎重だったオーストラリアまでが、近年の旱魃をきっかけに導入に鍛冶を切る事態になって、もう嫌でもGMO食品を食べるしかなくなりそうだから、みなさん受け入れましょう、というところまではさすがに踏ん切れなかったようだ。番組の大半が、GMOの危険性(モンサント社製の単一の種が世界中に広まるリスクとか、消費者が不安がっているとかw)の指摘に終止して、「どう受け入れるか」という部分はラスト10分未満だったと思う。まあでも、これまで散々危険性を煽って日本の消費者を怖がらせてしまったわけだから、とにかく自分たちは、けっして遺伝子組み換えマンセーなわけではないと視聴者に印象づけておきたかったのか。
 で、GMOに肯定的なパートでは、日本でも独自に研究が進んでおり、種としてより近い存在の植物の遺伝子をつかって(異種である微生物の遺伝子を組み込む従来のものとは違うと強調)、栄養価が高く、多く収穫できる米を作ろうとしてる話が紹介されて、これは知らなかったのでへえと思った。ただ、これで〔国産GMOは安全+国内農業の効率アップ=自給率向上〕という結論の持っていき方は疑問。


 そもそも耕地が細切れで人件費も高い日本で農業は成り立たないからもう止めるべきってのは、もう一々繰り返さないが、もし、国産GMO"だけ"が安全なら、それは日本で独占せず世界に広めるべき(食糧不足で困ってる国は援助すべきでしょ。モンサント社は打算込みとはいえそれを実行してるわけで)だから、国内農業"だけ"が効率化することはできず、自給率向上はムリ、ということになる(ここで、え、なんでムリになるの?とか云わないでね)。そして海外のGMOも、たぶん安全な可能性が高い(ここで、"たぶん安全"なんてダメ!とか云わないでね)から、どっちにしても自給率の向上はむずかしいわけだ。