道路財源と地方分権

 道路財源で民主党はもう最後まで突っ張るしかない。どんなに理不尽に見えても、折れてしまったら終わり、党ごと空中分解だ。だから揮発油税暫定税率は期限切れするだろう。でもそれでいい。一度いくところまでいってギリギリまで追い込まれないと、この国は何も変わらない。
 揮発油税自動車重量税一般財源化した上、道路建設費は地補助金の形で分配すれば良い。本当に必要な道路なら自主財源からいくらか出してでも作るはず。無駄な道路なら住民が許すまい。
 そして揮発油税の暫定「加算」税率は廃止し、変わって環境税を暫定「軽減」税率で課す。あるいは、自動車重量税を調整し、運輸業者の負担軽減を考えてもよい。税率は原油価格にリンクさせなければならない。もちろんこれは「べき」論、一般財源だろうと特定財源だろうと、地方にカネがまわらなければ反対派は納得しないだろう。
 でも資本を地方に落とすより、市場に任せた結果として都市部にまわしたほうが、確実に日本全体では総需要は上昇するし、厚生も改善する。このようにして、日本全体での経済成長が促進されれば、伸びた分だけ、地方の所得を再分配で補える。田舎に住む者のうち、都会にぶら下がるのが嫌だという者から順に地方脱出を図るはずなので、効率的な都市部への集住も進む。
 もっとも難しい問題は、都会に引っ越そうにも出来ない者(病気の親を抱えた人などがその代表だが)をどうするかだ。老人の介護を家族に担わせたことがこの種の人々を生んだ大きな原因といえるから、これは施設介護に切り替えていかねばならない。都市部の施設で老親を受け入れてくれるならば、田舎からの移転もすすむだろう。当然、医療費は増大するが、だからこそ可能なかぎり経済成長率を上げ、補わねばならないのだ。


 道路財源の問題もそうだが、近頃は、何でもかんでも地方分権とセットで語られる。朝日新聞のこの連載なんかが典型的だ。
 高福祉・高負担型を指向するまではわかるのだが、この後なぜか必ず、「地方へ権限を移譲」し、「NPO」などと「市民が連帯」すれば、「地域の実情にあった福祉」が実現する、とお決まりのDQNフレーズが羅列されるのだ。「財源の裏付けが無い」という、これまたお決まりの批判に対しては、消費税を目的税化して増税というのが流行なのか? 
 だいたい、「地方に権限を移譲」するのは、全体にとって非効率きわまりないのだ。「NPO」なんざ都会にしかおらんだろうし、地域の実情にあった福祉」にいたってはもはや意味不明w。その上足りない財源を消費税でまかなったら、地域によってはとんでもない税率になる(え、国の税源から補助をうけるの? それで地方分権すかw)。と、このように非現実的なばかりか、もし実現したらかなりヒドい結果を招くことが明らかなのだ。
 希望社会とやらを実現したければ、まず地方分権を否定するところから入らざるを得ないし、地方から動けない人の救済する財源も、徹底的に都市へ集中することでしか捻出できない。これは逆説でもなんでもないのだ。だからリフレ汁wといういつもの結論。