シリア:空爆されたのはやはり核兵器工場?

「北朝鮮の核密輸」をモサド暴露(FACTA 2008年4月号 [シリア空爆の真相])
見出し:6カ国協議を嘲笑うプルトニウムの積荷。2月来日のイスラエル首相は、福田首相に中東密輸の詳細を明かした。

(※記事は、ジャーナリストのゴードン・トーマス氏によるもの)朝ぼらけの太陽が、赤錆びた1700トン級貨物船の舷側を捉えた。昨年9月3日、シリアのタルトゥース港。出入りの多い港にその貨物船は静かに滑り込んできた。マストに韓国の太極旗がはためき、船尾板にはソウルに近い仁川(インチヨン)で船舶登録した「アル・ハメド号」の名を掲げている。
停泊予定のバースへ舵を切るその船を遠くから一人の男が見つめていた。肌は浅黒い。クルド人か、イラク南部の「葦の民」マーシュ・アラブ人だろうか。彼はクルド語もアラビア語も堪能だが、アフガニスタンの方言もいくつか操れた。
実はトルコ生ま ………(※続きは、ファクタ本誌購読者のみ閲覧可能なコンテンツなので、以下に要約)

(ブログ主による要約)

  • この情報をもとに空軍総司令部で、政府首脳が対応協議。モサドのダガン長官が、シリア・イラン・北朝鮮の核コネクションが危険水域に達していること、また、プルトニウムが搬入されたシリアのデリソール近くの施設には、ほぼ間違いなく核弾頭製造設備が設置されていることを報告し、同施設を空爆で破壊する作戦が練られた。
  • 爆破作戦の詳細ーー2007年9月5日、イスラエル空軍のF15I戦闘機の部隊が、バンカーバスター爆弾を使用して核施設を攻撃、完全に破壊した。が、シリアはすぐに爆撃された施設の再建に乗り出した。
  • そもそもの発端は、2004年4月の北朝鮮龍川駅の列車爆発事故にあった。イランの核施設から北朝鮮に派遣されたシリア人核技術者が、列車のなかで核分裂物質を受け取ろうとしていたのだという。
  • 爆発事故の後、北朝鮮軍によって推定55キロのプルトニウムが回収された。事故の原因は結局不明のまま。
  • シリア軍人と科学者らが十数回にわたり平壌を訪問、政権幹部と会談していた事実も、モサドは確認している。


うーん。モサドっていうと、つい落合信彦とかを思い出してしまうが、本当ならすごい話だ。ざっとググってみると、このニュースって国内ではあまり報道されていない。読売の記事はもう消えてる。以下の朝日記事くらいしか見れないな。

「北朝鮮、ハマスは悪の枢軸」イスラエル首相会見 - 北朝鮮核問題(asahi.com)
北朝鮮とイラン、シリア、ヒズボラハマス悪の枢軸だ」。訪日中のイスラエルオルメルト首相は28日、日本記者クラブで会見し、同国と敵対するイラン、シリアなどと軍事協力関係にある北朝鮮を名指しで批判、核拡散問題などで日本に連携を呼びかけた。
オルメルト氏は核保有国となった北朝鮮がこれらの国や過激派組織と「穏健諸国を脅かすために非通常兵器(核兵器)を開発しようと協力している」と指摘。「北朝鮮が(実験段階を超えた)現役の核保有国になれば大きな脅威だ」と述べ、27日の福田首相との会談で、情報分析などを共有したと語った。
事実上の核保有国とみられているイスラエルだが、自国の核の有無や、昨年9月のシリア空爆については「コメントしない」と語った。

FACTA」記事にも編集部註があったが、オルメルト氏が、空爆作戦についても福田総理に伝えたのは間違いないだろね。finalvent師匠も述べておられるように(このエントリも)、これが本当なら、北朝鮮問題とイラクを含めた中東情勢が見事にリンクしてしまう。
まあ、アメリカ国内でも、米軍のイラクからの撤退とか、北朝鮮のテロ国家指定解除の問題とか、いろんな考えを持っている人がいて、いろいろ綱引き的なこともあるんだろう。またイスラエルとしても、なんとかアメリカにイラン・シリアへもっと厳しく対応してほしい事情が背景にあるはず。だがそれを割り引いても、十二分に差し迫った危険といえるんじゃないか。
日本にとっても、北朝鮮の核の脅威が、たんにノドンやテポドンが飛んでくるぞというレベルではなく、少なくとも相当広域にわたる安全保障の問題になっていることを認識しなければならないだろう。
いままではあいまいな疑惑でしかなかったが(イラク大量破壊兵器みたいに)、今回これだけ具体的なものが出てきてしまったわけだ。イランもシリアも核武装なんて事態になったら(そうなる前にイスラエルがおっ始めてしまうだろうけど)、本気で石油供給の心配をしなければならなくなるからね。

追記

引用した記事「北朝鮮の核密輸」をモサド暴露が、「FACTA online」で読めるようになってた。記事の重要性に鑑み誰でも読める公開コンテンツにしたとのこと。