混合診療導入は、外資の陰謀? ではないとしても……

 普段よく見てる医療系ブログ新小児科医のつぶやきさんのところで見つけたコメント。

Seisan 2008/02/05 17:51
厚労省官僚の周辺にいる友人から聞いた話ですが、厚労省中堅は「自由診療・民間保険導入」をほぼ既定路線として確定している様子です。要するに徐々にそちらのほうに世論誘導していこうということですね。で、厚労省主導にすると恨まれるので、「医者が悪い」という風な世論を作り上げて、目的を達しようと。(新小児科医のつぶやき:コメント欄より)

 つまり、「たらい回し」記事などの医者叩きは、混合診療導入への道ならしが目的? なんか陰謀論めいてきたが、たしかに、ここのところ新聞の社説のトンデモっぷりはすごい物がある。ああいったのを書いてる人は、政府の委員もつとめている場合が多いようだ。洗脳されてるのかな。
 ググってたらこんな記事も見つけた。

「混合診療」は公的健康保険の”民営化”の始まり
 高度医療技術や生活療養などの保険外診療保険診療の併用を認める「混合診療」という言葉は誰もが聞いているだろう。日本では未承認の最新の抗癌剤などもそれによって自由に使えるというような説明がされているが、一方の大変な危険性については、大手メディアが一様に口をつぐんでいるため、ほとんどの人には知られていないのではないだろうか。
(中略)
「高度な技術」などというが、新しい技術というのは出た時点では常にほとんど「高度」だろう。これは「混合診療」において何を意味するのかというと、新たな医療技術は「高度」だという名目で、常に健康保険外診療自由診療)ということにされ、公的保険でおこなえる診療は古いものばかりになっていく、ということなのだ。

 さらに、

 また、AIGグループのアリコは、新聞の二ページ全面広告で、高度先進医療の技術料を「影の治療費」と言い、公的保険適用外の治療費への備えも必要、と保険の加入を勧めていたそうだ。(同上)

 うーん。このところアリコなど外資系生保が、ものすごいCM展開で新商品を宣伝しているが、なかには、あきらかに逆ざやになりそうな物も見受けられる(80歳まで入れるとか、それでも掛け捨てじゃないとかってありえねー)。これもきたるべき混合診療の解禁を見据えて、なりふり構わず客の囲い込みにかかっているのかなあ、とふと思う。
 その行く先は、マイケル・ムーア「シッコ」の世界が、日本でも再現されるんだろうか。

追記

 少し訂正。検証しないで逆ざやとかは言えないな。すべてのケースに給付金を出すわけでもないだろうしね。でも民間保険会社とすれば、自由診療部分で大きな売り上げが見込めるし、厚生労働省側も新たな許認可権(新たに開発された医療技術なり新薬なりを保険扱いにするか自由診療にするかは、役人の胸三寸だ)を握れる。製薬会社にとっても利があるだろう。
 では、混合診療で医者は儲かるだろうか? 一部の開業医とか、代替医療系を除けば、過重労働に訴訟リスクまである劣悪な環境では、到底割りにあわないと思う。そのうえ一般国民に、「医師会が金儲けしたいから混合診療導入」なんて先入観(この頃相次いだ診療報酬の改訂についての報道で、そういうイメージが醸成されつつあるような)を持たれでもしたら、それこそ目もあてられない。

さらに追記

 国民皆保険はもう維持不能、という世論は確実にできつつある。ぼく自身は、皆保険でも制度しだいで十分やっていけると思ってるので混合診療には反対の立場だ。制度設計にあたっては経済学者を参加させて、サステナブルな仕組みを作るべきだろう。