社会問題へコミットするためのポータルサイトな本

日本はなぜここまで壊れたのか

日本はなぜここまで壊れたのか

 本書の内容は、新聞記事など既存の情報が元ネタで、読む人によっては、どっかで聞いたような話だなとか、やや右寄りに見える論調をなぞっているだけとか思うかもしれない。取り上げている問題は、中高年層が関心もちそうなトピックをほぼぜんぶ(唯一軍事外交安全保障系が無いが、読者の半分=女性の受けが悪いから、という事か)揃っているが、個々の問題に深く突っ込まないから、すでに特定の社会問題に関心のある人にとっては、食い足りない感があるかもしれない。
 だが、そうではない大半のフツーの人にとっては、一冊でここ数年の社会問題のアラカルトになっているから、けっこう役に立つのではないか。いわばフツーの中高年を社会問題に接続してくれるポータルサイトみたいなもんだろう。日本のおじさんってそういうヤフー的なのが好きみたいだし。
 また、この著者の基本スタイル、英国を規範として日本のあり方を批判的に取り上げるという手法は、今回幾分なりをひそめた感もある。英国のさいきんの評判の悪さ(ぼくは英国はよくやってるほうだと考えているが)も加わって、やはり嫌う人もあるだろうことを想定したのか。個人的には、もっとやっちゃってもいんじゃねと思ったが。